Karaoke Road

世の中いいことばかりではないのが常です。まったく。

マンゴーハウスを契約したのは5日でした。それまで住んでいたアパートも、すでに家賃は払ってあったので、何回かに分けて、ぼちぼちと片付けながら、最後に引っ越したのが14日でした。それまで何度も行ってはせっせと掃除に励んでいたのですが、泊ったことはありませんでした。

最初に泊ったのが14日です。それがもうびっくり仰天、涙がこぼれそうになりました。100mくらい離れたところにカラオケがあるのはわかっていましたが、なんと、1軒だけではなかったのです。私の部屋をはさんでL字型の道路に、少なくとも5,6軒はあるようで、大家の娘さんがいうには、このあたりは Karaoke Road と呼ばれているとか。

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カラオケという場所は、日本で行ったこともなく、私も軽く考えていたのですが、こちらのカラオケはオープンスペースで営業するので、外部に響き渡るその音量たるや、凄まじいものがあるのです。セイハーもこちらに長いのだから、それくらいのことはわかっていたはずなのに、自分はこの程度なら気にならない、マミィー(彼は私のことをこう呼ぶ。以前はばあちゃんと呼んでいたけど、さすがにそれは止めさせた。ちなみに彼の母親は私より10歳以上若い)は年寄りだから気になるのでしょう、と平然とのたまうのです。

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寝るときにクーラーをつけたままで平気な人は、窓を閉め切ってクーラーをつければその音でカラオケの音はかき消されてしまうのですが、私は扇風機すら苦手で、夜は窓を開け放ち、蚊帳を吊って寝るのが私流なのです。

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その上、私は深夜に枕元で針一本落ちる音でも目を覚ますくらい、特別に音に敏感な人間なので、若い頃から、これはもう耐え続ける自信がありません。この先毎日のことですから。しかし、この住所ですでに商務省に登録を申請していて、それを変更するのは大変なことです。それに2年契約で、お金もそれなりに支払っています。今さらどうしようもありません。

ということで、初日の夜から相当に落ち込んでいるのですが、とにかく当分の間はここで何とかしのぐしかありません。窓に貼る防音資材をまずは探すことにします。プノンペンにまで行けば何かありそうです。なければ、日本に帰った時に少しずつ持ち運びます。

昼間はほんとうに静かなところです。近所に空き地が多く、古の森の姿をよく残している大樹の木陰もたくさんあります。すぐ隣は小さな畑で、バナナやマンゴーが茂っています。ときどき野鳥のさえずりも聞こえ、そして犬がワラワラいます。少々辺鄙ですが、そこそこの高級住宅街で、1軒の敷地がとても広い豪邸が並んでいるため、みな番犬として複数匹飼っているのです。2軒隣のお宅は5匹ほど飼っています。

でも、もともとペット犬じゃないから、私が通りかかるだけで、ものすごく吠えるのです。可愛げがありません。こちらからちょっと威嚇の態度をとると、いっせいに尻尾下げて逃げて行きますが。

ということで、憧れだったマンゴーハウスは前途多難の船出となりましたが、なんの、これしき。これまでひとりで越えてきた艱難辛苦をつれづれ思い起こしつつ、対抗策を考えているところです。