村の日本語学校

Kittiyous Village という村に行ってきました。ヴッダさんとラモさんというご夫妻が、ラモさんの実家のある村で開いている、ボランティアの日本語学校を見に行ったのです。シェムリアップの街中から、乗り合いタクシーで40分ほど、ひたすらタイ国境の方に向かいます。

この乗り合いタクシーというのは、中国ではおなじみのものでしたが、当地にもありました。もうまっすぐ行くしかない、というような主要幹線道路の傍らで、それらしき佇まいで突っ立っていると、じきに乗用車が寄ってきて、「どこまで行くの?」と声をかけて来ます。料金交渉といっても、すでに相場は決まっているし、先客がいるわけで、だいたいは路線バス並みの料金。私は中国でもよく利用しました。

途中で検問があり、ひとり定員オーバーだった私が乗った車は、5ドルの罰金を取られていましたが、そもそもひとり5ドルの料金なので、そんなのはおかまいなし、警官の方も、まあ、小遣い稼ぎなんでしょうね。。。

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とにかく予定通り、午前10時頃に村に到着しました。砂糖ヤシの葉で葺いた吹きさらしの校舎には10人の生徒が集まってきていましたが、当地の小学校の授業は2部制で、午後になると、また別の子どもたちがやってきて、全部で1日3回の授業をするそうです。それを毎週金、土、日の3日間。時々は日本人のグループからの支援があるようですが、ラモさんたちはボランティアで、ほんとうにたいへんな活動だと思います。

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日本の支援グループが建てた教室ですが、机を買うお金がなく、電気もないので、使われることもないまま放置されているそうです。もちろんのこと“善意”とはいえ、こういった“後先のこと”をあまり考えない支援も多いように思います。この地の話ではありませんが、井戸を掘ったのはいいけれど、事前の調査がきちんと行われていなかったために、後にヒ素中毒が発生しているという地域すらあるのです。

生徒たちはみな小学生でもあり、まだまだほんのカタコトではありましたが、ひとりひとり私にあいさつと自己紹介もしてくれ、何より、とってもかわいらしい笑顔をたくさんもらいました。こんなに小さな頃から日本語に親しんでもらえれば、きっと上達も早いだろうと思うのですが、実は、ラモさんは、来年1月に出産を控えているのです。赤ちゃんが産まれたら、往復1時間半もかけて村まで通うことは不可能で、後を継いでくれる人もおらず、この日本語学校はおそらくは閉校になるだろうとのこと。

“貧しい”村の子どもたちにスキルを身に着けてもらい、新しい選択肢を提供したいという彼女たちの夢と努力が、道半ばでついえてしまうのは、ほんとうに残念でなりません。