黄金色の大伽藍

お昼ご飯は、ラモさんのお宅でごちそうになりました。この村の人口は2,000人くらいだそうですが、家屋は密集していて、周辺には広々とした田んぼが広がっていました。刈り入れが済んだ田もありましたが、これからのものが多そうでした。このあたりは水が少なく、米作りは年に一度だそうです。

村の産業は、米作り。カンボジア米はおいしいので、タイに輸出されるものが多いと聞きましたが、おそらくは“闇貿易”でしょう。国内で売るよりはずっと値がいいようです。中国とベトナム、ベトナムとカンボジア国境でも、私自身何度も見てきました。国境を知らない日本人にとっては、何か大ごとにも思えますが、実際には、オート三輪やバイクの荷台に積み上げた米などが、生活圏のどまん中を走る国境線を、あるいは国境の小さな川を“自由”に行き来して、日々大量に取引されているのです。

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これがラモさんの家の裏庭。電気はありましたが、ガスと水道はなく、燃料は薪、水は天水をためて使います。ちなみに、私がこれまでいた中国黄土高原は、燃料は石炭、水は同じく天水でしたが、こちらの村は70ドル出せば井戸が掘れるそうです。

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これは向かいの家ですが、どの家も見事に同じ規模と造りでした。しかし、メコンからはずいぶん遠いのに、こんなに高床になっているのが不思議です。

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上のふたりは、ラモさんの親戚ですが、両親共プノンペンの建設現場に出稼ぎに出ているので、今はラモさんの家で暮らしています。これも中国の状況とまったく同じです。タイが近く、ビザもいらないので、バンコクに働きに行く人も多いそうです。

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一戸当たりの年収は1,000ドルくらいだそうですが、それにしてはお寺が立派すぎます。ラモさんに聞いてみると、予期した通りの答えが返ってきました。

現世がどんなに貧しくても、功徳さえ積めば、来世には幸せが待っているからと、なけなしの金をせっせとお寺に寄進する人が多く、“貧乏な村ほど寺は立派”なのだそうです。